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金沢城公園整備工事(橋梁詳細設計)業務委託
表彰・受賞
■表彰受賞年月日
2021年2月17日
■表彰受賞名
第43回金沢都市美文化賞
■業務名
金沢城公園整備工事(橋梁詳細設計)業務委託
実績詳細
件名 | 金沢城公園整備工事(橋梁詳細設計)業務委託 |
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業務分野 | 鋼構造・コンクリート |
発注者 | 石川県 土木部公園緑地課 |
本業務は金沢城跡公園と尾山神社を結ぶ鼠多門橋L=32.7mの詳細設計である。
鼠多門橋は金沢城と金谷御殿(藩主住居、現 尾山神社)を結び、堀を跨ぐ約30mの木橋であったが、明治時代に撤去された橋梁であり、歴史的景観の復元が必要であった。
橋の復元にあたり、下を通る市道の道路機能や跨道橋としての耐震性を確保するため、完全な復元は不可能であり、史料を基に可能な限り再現する計画とした。その中で以下の課題に対して創意工夫を行った。
耐震性を確保するため、鋼部材を主構造とする構造としたが、往時を再現する計画にそぐわないため、鋼材全面を木装することで、往時の城下町における橋梁の面影を再現し、歴史的景観を確保した。
堀底に堆積した軟弱粘性土は史跡と判断されたため、調査目的以外での掘削や基礎杭の設置は禁止された。また、金沢城側の法面傾斜地に橋脚を設ける必要があり、橋梁基礎の安定性を確保する必要があった。そこで、道路条件と橋脚位置より3つの構造に細分化し、かつラーメン構造の採用や市道埋戻し土を発泡モルタルに置換することで荷重分散を図り、耐震性確保や軟弱地盤対策を行った。さらに傾斜地では、狭隘箇所でも適用可能な補強土を用いて基礎地盤を構築した。照査にあたっては道路橋示方書の動的解析による照査以外に、地盤応答解析を用いて軟弱地盤の挙動を橋梁本体の解析に反映させた。
耐久性を確保するため、鋼材の防食仕様には亜鉛アルミ金属溶射を用いた。橋面は木橋としての景観確保のため、木材による敷板構造としたが、鋼床版上面の腐食を抑制するため、排水機能を工夫した。また、鋼材全面を木装するため、鋼部材の近接目視点検は不可能となる。そこで、弱点となりやすい部材接合部や柱基部の木装部材は景観に配慮しながら容易に取り外し可能な工夫をして、維持管理の確実性や容易さを見据えた構造とした。
架橋位置は地下埋設物の多い幹線市道の交差点付近であった。また、発掘調査や古写真解析により橋脚位置が指定された。そのため、市道改良や多数の地下埋設管移設が必要となり、車線変更や橋梁基礎に支障する埋設物の移設を検討した。