北陸新幹線開通3年目を迎えた石川県金沢市、その南方約70Kmにそびえる白山は、最高点の御前峰(標高2,702m)に一等三角点と白山比咩神社奥宮があり、「ハクサン」の名前が付く植物が見られる白山国立公園として大勢の登山者に親しまれています。

その白山の西側斜面に、別当谷と甚之助谷を含む約5Km²の大規模な範囲で地すべり防止区域が昭和37年に指定され、国土交通省北陸地方整備局金沢河川国道事務所で地すべり対策工事が進められており、その一環として地表面の地すべり移動量を検出しています。

甚之助谷地すべりは、大正から始められた砂防工事で築造した砂防堰堤に、亀裂が発生した事でその存在が明らかとなり、その甚助谷砂防堰堤群は、土木学会の2004年度選奨土木遺産に認証されています。

現在は、大正14年~昭和15年に竣工された35基の堰堤群が、砂防施設として存続しています。写真は、その堰堤群の上下変動を検出するため、一級レベルと一級標尺を用いた水準測量の写真です。標高1,500~1,850mの中、河床部を経由しながら、往復で約500回の機械の設置回数を経て、過年度成果との変更を検出しています。

日々、徒歩による機材運搬、高山に発生するガス等の天候障害、落石監視による事故防止等による厳しい作業環境の中で、従事者同士が声を掛けて安全第一に取り組んでいます。

そして、本作業を通じて直接水準測量の技術向上と測量精度を確保する方策を図り、技術者育成に向けた技能伝承に反映させています。

(株式会社国土開発センター 計測補償本部 計測事業部 計測部 谷内田 修)